【夢渓筆談(むけいひつだん)】柳川俊之

「夢渓筆談」は北宋の政治家で科学者の沈括(1031-1095)が1090年前後に発表されたとする筆記小説類の書。「筆談」26巻、「補筆談」3巻、「続筆談」1巻の計30巻からなる。

本書には天文、暦法、気象、地理、物理、化学、生物、農業、水利、建築、医薬、歴史、文学、芸術、軍事、法律など非常に幅広い内容が609条にわたって記載されており、沈括の博学ぶりが伺える。なかでも自然科学の内容が全体の約3分の1を占めており、随筆である筆記小説としては珍しい構成になっている。

古代中国における自然科学、工芸技術等の研究の発展ぶりを知るうえで非常に貴重な資料であり、「中国科学技術史上のマイルストーン」とも評価されている。特に活字印刷術に関する詳細な記述は、世界最古の信頼できる活字印刷関連史料として後に世界的な注目を浴びた。19世紀中期には日本で活字印刷され、20世紀に入ると英国・米国・フランス、ドイツ、イタリアなどの学者が「夢渓筆談」の研究に取り組むようになり、各国にその内容が伝えられた。

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