【飲膳正要(いんぜんせいよう)】柳川俊之

『飲膳正要』は中国最古の養生に関する書籍。元代の西暦1320年に、モンゴル族の栄養学者・忽思慧によって著された。

忽思慧は長きにわたって宮廷の飲食管理や療養に関する職務に従事。自身が宮廷内で実践した経験を整理するとともに、先人の本草や「食療」(薬膳)に関する著作、研究の成果を組み合わせることで、本書を完成させた。

本書は全3巻からなり、第1巻では養生や妊娠中、授乳中、飲酒における禁忌がまとめられている。第2巻ではスープや茶の作り方、季節、五味、薬膳メニュー、食物の利害関係、中毒などを取り上げ、第3巻では穀物、野菜、肉類、果物について論じている。

従来の食療に関する著書は、病気になったときの治療に主眼が置かれていた。一方、本書は健康な人がその状態を保つための養生法について示したものである。もともとは皇帝の長寿のために編纂されたものだが、挿絵が豊富に用いられていることから一般市民の健康にも大きく貢献した。現在に至るまで、中医養生学を学ぶ上で重要な文献として位置づけられている。

また、本書には元代という時代背景が色濃く影響しており、羊を使った薬膳料理などモンゴル族に由来する食べ物が多く取り上げられているという特徴も持っている。

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