【本草綱目(ほんぞうこうもく)】柳川俊之

本草綱目は明代の医学者、李時珍が1590年に著した薬学の専門書。作者の李時珍は従来の薬学に関する研究成果に自身の実践の成果を加え、約30年の時間をかけて完成させた。全52巻からなり、計1892種類の薬物、11096種類の処方について1000点を超える挿絵を交えて解説した。

薬物については植物、動物、鉱物の三大類に分類したうえで、さらにそれぞれに下位項目を設けて細かく分類するという科学的な分類を行った。また、医学、薬物学はもちろんのこと、生物学、鉱物学、化学など、幅広い学問分野に及ぶ内容が盛り込まれている。

李時珍は1593年に死去し、本草綱目は1596年に出版された。初版本は「金陵本」と呼ばれ、その後中国国内で30種類以上の刻本が出版された。また、17世紀初めには日本に伝わり、その後の日本漢方の発展にも大きな影響を与えたほか、17世紀中ごろにはラテン語に翻訳されるなど、欧米にも広まった。2011年には「金陵本」がユネスコの世界記憶(記録)遺産リスト入りを果たした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です