【法苑珠林(ほうおんじゅりん)】柳川俊之

『法苑珠林』は唐の総章元(668)年に道世が完成させたとされる仏教書籍。「融通無碍な仏法の珠玉の一切を集めた」というタイトルの通り、全100巻にわたって仏教の教義などに関する解説がなされている。
『法苑珠林』では仏教の基本理念について、時空観や宇宙観、因果応報、徳行、聖者と凡夫の区別、戒律、呪文、礼儀作法など細かく分類整理しているほか、すでに現存しないものを含めた数多くの仏教経典が引用されている。このことからしばしば「仏教百科全集」と呼ばれ、中国仏教史研究に欠くべからざる文献資料として珍重されている。
また、仏教経典以外にも諸子百家の文献なども引用し、俗世間に存在する様々な現象や倫理問題についての是非も論じていることから、出世(俗世間から解脱するという仏教的思想)と入世(実社会に生きるという儒教的思想)双方の思想を1つにまとめた大著との評価もある。

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