【文選(もんぜん)】柳川俊之

 南北朝時代(5世紀中期~6世紀末)の南朝・梁の昭明太子が、春秋戦国時代から当時に至るまでの文学作品800点あまりを選んで編纂した詩文集。屈原からはじまり、漢の武帝、司馬遷、曹操・曹丕・曹植、諸葛亮、陶淵明など著名人の作品が多数収録されており、文学的価値が高いとされる。また、時代の流れによって数多の古典作品が散逸する中、それらの作品が原型に近い形で保存されているという点でも大きな役割を担った。
 『文選』に収録されている作品は、隋の時代の作風に影響を与え、唐代には科挙の詩賦試験における模範作品として重んじられた。早い時期から多くの注釈が施され、「文選学」という学問ジャンルが形成され、現代に至るまで中国文学研究の重要書籍としての地位を保ち続けている。また、日本でも奈良時代にはすでに伝わっており、永く貴族のたしなみとして欠かせない書物として重用されてきた。『文選』に登場する語彙や熟語は現代まで使用されているものも少なくなく、「金科玉条」という四字熟語はそのうちの一つである。

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