【佩文韻府(はいぶんいんぷ)】柳川俊之

『佩文韻府』(はいぶんいんぷ)は清代に編纂された、詩作で韻を踏むために用いられた辞典である。康煕帝の勅令により張玉書らによって編纂され、18世紀初期に完成した。2文字~4文字の語句を、その末尾に使われている文字の韻母で分類して並べたものである。ここで分類に用いられている韻は近体詩(唐代以降の文字数や押韻などの制約がある詩)の押韻の根拠とされている「平水韻」と呼ばれるもので、平声30種(上平声・下平声各15種)、上声29種、去声30種、入声17種の計106種類に分かれている。同書は1巻で1つの韻という構成になっており、全106巻存在する。また、数年後に編纂された補遺集の『韻府拾遺』も106巻あり、両方あわせて212巻となる。

同書はもともと詩作で韻を踏む際に調べる目的で作られたものだが、収録語数が多いため古典文章中に出てくる語句の意味、出典を調べる辞書としても利用価値が高い。しかしあくまで韻の分類順で並んでいるため、平水韻に対する知識がないと使いこなせない。なお、署名中の「佩文」は康煕帝の書斎の名から取ったものである。

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